大日本ダイヤコンサルタント株式会社
1 . 大泉学園駅前デッキ
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本駅前整備の都市計画決定の要件として、駅前広場として平面的に不足する1500㎡をデッキとして整備しなければなりませんでした。再開発地区に計画された様々な施設をバリアフリーかつ快適に繋ぎ、すべての人に優しい歩行者ネットワークを築くこと、暗くなりがちな桁下に光を届かせ、緑豊かでほっとする潤いのある空間を駅前利用者に提供することをコンセプトとして、デザインを実施しました。
鳥瞰写真に示すとおり、周辺には武蔵野の面影を残すケヤキの群落が点在しています。まず、この雰囲気を駅前に取り込み、地域の個性が駅前にも滲み出るように考えました。次に、この緑が利用者の視界に無意識に、そしてさりげなく入るようにデッキ動線と木々の配置を調整しました。デッキ中央の楕円型の開口部から顔を出す大きなケヤキの樹冠は、開口部を取り囲むように配置したベンチに木陰を落とし、公園のような雰囲気も出しています。春はケヤキの新緑とツツジの花が彩りを添え、夏には蝉がやかましいほどに鳴き、秋には落葉の舗装が、冬はケヤキの木立が季節感を駅前に提供しています。
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2 . 都市の隙間をデザインする-竹芝デッキ 港歩行者専用道第8号線-
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竹芝デッキは、東京都が行う都市再生ステップアップ・プロジェクトの1つであり、国家戦略特別区域計画の特定事業でもある「(仮称)竹芝地区開発計画」の中で、再開発エリアのゲートで日常欠かすことのできない重要な動線としての役割を担う歩行者専用道路です。
デッキの構造は、橋長約240m の6 径間連続鋼箱桁ラーメン橋です。支間割は地上の車両出入口、横断歩道、地下にあるJR 横須賀線などの架橋位置、周辺環境の交差条件からほぼ最終的な位置として選択の余地がなく、融通の利かない困難な計画でした。特に首都高を跨ぐ部分は最大支間長となり、維持管理空間を踏まえた桁下の建築限界を確保する必要があるため、接続する桁端の高さ、縦断勾配など正しく針の穴を通すような計画であり、施工の制約からもこの場所で、ここでしか実現できないデザインとなりました。
本デッキのデザインは、高層ビル群と旧芝離宮恩賜庭園に隣接する都心部の特異な景観の中に位置しており、地上から15m 以上の高さに長さ約240m のデッキは、地域の景観形成上大きな影響を与えることになります。そうした複雑な都市景観の中で、一筋の白いデッキラインを水平方向に通すことで、よくある煩雑な都市景観に緊張感を与え、ここにしかない都市景観を生み出しています。また各部の形状もあまり主張が強くなり過ぎないよう、全体デザインが都市景観に溶け込むよう、控えめではあるが、緊張感を与えるものとして、程よい存在感のあるデザインとなるよう心掛けました。新たに建設される業務棟、住宅棟などの将来歩行者通行量や歩行快適性を鑑み、デッキの有効幅員6m と地上の歩道幅員3.5m とし、縦断勾配は車椅子での利用者が自力で走行できる程度の緩やかな勾配とする、だれでもいつでも快適に感じることができる歩行空間を目指しました。
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3 . 人と自然がふれあえる水辺づくりを目指した環境学習-荒川流域(埼玉県)の活動について-
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未来を担う子どもたちに自然の豊かさとそれを守り育てる取り組みを実感してもらうため、人と自然がふれあえる持続可能な水辺の整備および水生生物の生息・生育場所の保全と創出に着目した「環境学習」を埼玉県内の荒川流域で展開しています。
この活動は、弊社のSDGsやESG経営の取り組みだけでなく、埼玉県における生物多様性保全戦略2024-2031のうち、「ネイチャーポジティブの実現」、「30 by 30」や「OECM」推進の一環として、「地域の希少種を守りながら、子どもたちが学ぶことのできる環境学習の機会と場所」をつくることを目指しています。
埼玉県の「環境学習応援隊」やさいたま市の「環境教育ネットワークパートナー」制度に企業登録し、弊社が持つ自然環境保全の知識・経験を生かして、地域の水辺における景観や生態系の保全と創出に向けて、県・市町村・教育機関・環境団体・漁協・有識者と連携して、水辺体験・自然観察・出前教室・オンラインによる4タイプの環境学習を提供し、学校の要望にあわせて昨年から実施しています。
今後はこの活動を通して、地域の景観や生態系保全に最適な「人と自然がふれあえる水辺づくり」について提案していくとともに、その実現をしたいと考えています。